私が書きました

だいたい覚え書きです

望まない人との会話は断りたいんですが

人見知りなのに、他人から話しかけられやすい。

 

こないだは、スーパーで。
久しぶりの休日、重力を無視した寝癖が綺麗にキマっていたので、ダークグレーのパーカーのフードをかぶり、スーパーへと出かけた。
自転車に乗っている間も、寝癖は綺麗にはね上がり、日曜の道路にジグザグの影を落としていた。
スーパーに到着。サラダを一つカゴに入れ、マヨネーズが必要だったので通路へ向かう。
 
そこへ、90歳くらいのお婆さんが声をかけてきた。
「ねえ、これは揚げ物のソースなの?」
お婆さんが手に持っていたのは、ブルドッグ中濃ソース。
すぐさま、善良な私と邪悪な私が囁きだす。
邪悪(シラネ)
善良(困っている人には優しく!)
 
ビビりなので善良の方が勝つ。
私「あー、そうですよ、それが良いと思います」
優しい私はお婆さんが求めている答えをあげた。
ブルドッグのソース使ったことないけど。
 
婆「ああそうなの、ありがとう。これね、私が使うんじゃないのよ…」
私「そうなんですね」
邪悪(嫌な予感がする…)
 
婆「孫がね、使うの、孫が。来るからね、今日はね、私はもう手術してね、胃がないの、胃とね、胆嚢とね、腸の一部がないの。アレね、ガンで悪くしてね、68の時にね、切ったの。だから揚げ物なんかもう20年食べてないの。それでね、今日は孫が来るって、本当はね…」
 
 
怒濤のハイパーお婆さんタイム!!
 
 
邪悪(知らない知らない知らない知らない知らない目標をセンターに入れて知らない知らない知らない知らない)
善良(笑顔で相づちをうちなさい)
私「はあー」「へえー」「ウンウン」
 
婆「うちの娘夫婦の孫なんだけどね、うちの娘夫婦は教師だから、ほら仕事が忙しいでしょ」
 
邪悪(善良に従って笑顔で応対したからよりディープな身内話になったじゃねえか!なに確変突入させてんだよ!)
善良(これはソーシャルスキルが低いあなたへの修行だと思いなさい)
邪悪(修行って言葉もおかしいから!)
私「あー、そうなんですね」
 
婆「娘夫婦もね、二人とも忙しいから、昨日がほんとはいつも来てくれるはずの日だったのに、昨日電話でね、娘夫婦が飼ってるネコがね、病気になっちゃって、行かれない、って。代わりに明日は行くからって、それでね、おばあちゃん、ごはんと味噌汁だけあればいいからって、でもね、そんなわけにはいかないでしょう...」
 
邪悪(なぜ今日病気にならなかったのだ、ネコよ)
善良(優しく笑顔であいづちを!)
私「はあ、そうなんですかー」
 
婆「私はね、もう、胃と胆嚢とね、腸がないからね、揚げ物なんか食べないんだけどね、ほら、シャケ買ってるの、シャケもね、前にいっぱい買ってね、孫と一緒に食べるかな、と思ってたらね、孫がね、おばあちゃん僕シャケ食べないよってね、だから前買ったのもね、結局自分で全部食べたんだけどね」
 
邪悪(開始2分でもう病気の話2回目か、先が思いやられるな)
善良(優しく笑顔であいづちを!)
私「はあ、そうですね、子供はシャケよりは揚げ物ですかねぇ」
 
婆「あなたいくつなの?」
 
邪悪(不安な新展開...面倒だから嘘ついちゃえよ)
善良(嘘つく必要もないので正直に)

私「30です」

 

婆「わたしはね、もう86なのよ、それでね、68の時に手術してね、それ以来揚げ物とか食べてないからね」

 

邪悪(20年食べてないって言ったのに計算合わないよ!)
善良(揚げ足をとらない!)

私「そうなんですかー、大変ですねー」

 

婆「おじいさんもね、ガンでね、手術っていうときに亡くなっちゃってね、もうそれで去年ね、娘がね、もうおばあちゃん一人しかいないんだから、長生きしてねって」

 

邪悪(また重い新情報だしてきたな)
善良(お悔やみを伝えて!)
私「ああ、お爺さん、去年亡くなられたんですね、それはそれは」
 
婆「おじいさんが亡くなったのは70の時よ!」
 
邪悪(痛恨のミス!!!)
善良(チーン)
 
婆「私が手術したあとにね、おじいさんも手術するはずだったんだけど、もうできないって、それでね、私より先に亡くなったのね、私がガンだって言われてたのに、おじいさんの方が先に亡くなったんだもん、それでもう一人なんだからって、娘たちが言うわけ」
 
邪悪(そんな行間読み取れるわけない!)
善良(チーン)
 
婆「それでね、わたしも今朝病院に行ってね、今日孫が来るからって、朝病院行ってね、それで家に帰ってごはん食べてね、でも胃と胆嚢とね腸がないからね、ちょっとずつのごはんを7回も毎日食べるのよ。ごはん食べてね、それで孫のごはんがないって買い物に来たんんだけどね...」
 
邪悪(病気の話3回目突入!確変続行!)
善良(優しく笑顔で!)
私「ああ、大変ですねー」
 
婆「あなた何買ったの?」
 
邪悪(他人のカゴ覗くとか趣味悪いわー)
善良(優しく!)
私「いやー、まだサラダくらいしか」
 
婆「あらそうなの、わたしはね、ほら、シャケとね、イカとね、これすきなの、この干しイカね。それでね、孫のアレも買ってあげないとね。じゃあ」
 
邪悪(解放だ!解放だー!!)
善良(最後まで失礼のないように!)
私「ええ、それじゃ」
 
婆「ああ、それでね、娘夫婦がね、教師やってるからね、いつもはほら、娘がね、お弁当とか作ってね、朝4時に起きて旦那さんのお弁当作って、子供のお弁当作って、それで自分も働いてね、そうしてるんだけど、昨日はネコがなんか具合が悪いから病院に行くからって」
 
邪悪(誤報だ!誤報だ!静まれーっ!)
善良(チーン)
私「はあー」
 
婆「今朝もね、歩いて病院まで行ってね、それでまた歩いて帰ってきてね、それでごはん食べてね、手術して胃と胆嚢と腸がないからね、ちょっとずつ日に7回もたべるのよ。それでね、またここへ歩いて買い物に来て、歩いて帰って、ごはん食べて、孫がね、くるから」
 
邪悪(もう来ないでくれ、孫)
善良(優しく笑顔であいづちを!)
私「大変ですねー」
 
婆「そうなのよー、あなたの顔見たら元気出たわー、ありがとうね、じゃあ」
 
邪悪(こっちは生気吸い取られたわ!!)
善良(最後まで笑顔!)
私「ええ、それでは、どうもー」
 
時間にして5分から10分程度だったけど、どっと疲れた。
一体ああいう場合は、どういう対応を取るのがいいのだろうか。
人見知りなので、できるだけ知らない人とは喋りたくないのだけど、ソーシャルスキルが低いので、断り方とか、知らないんだな。
 
 
その後、お婆さんに見つからないようにそそくさと買い物を終えた私。
家に帰って、マヨネーズの代わりにケチャップを買ってしまったことに気づくのは、また別の話である。
 

 

ブルドック 中濃ソース 500ml

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楽しいブルドッグライフ (すべてがわかる完全犬種マニュアル)

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